富士山のトイレのしくみ

毎年沢山の登山者が押し寄せる富士山ではトイレは大きな問題
山中では、トイレは各山小屋に設置されている物を利用することになる。
富士山の山小屋のトイレは、以前はごく簡易的な設備だったが、
いまでは画期的なまでに綺麗になった。
富士山では、登山者の糞尿による汚染を防ぐ為、
バイオトイレなどの環境配慮型トイレの設置をすすめてきたが、
2006年に最後の1ヶ所の設置が完了し、これで山梨県側18ヶ所、静岡県側24ヶ所
すべての山小屋のトイレが環境配慮型トイレに替わった。

山小屋のトイレは、宿泊者は無料〜100円で利用できるが、
一般の登山者は100〜300円程度のチップを払う。
トイレットペーパーも自分で用意する。水溶性のティッシュやペーパーを用意しよう。

たくさんの人が利用することを念頭に、トイレは汚さない。ゴミを投げ入れないなど
最低限のマナーを守ること。
(特に女性の方はこのページ下の記事をお読み下さい)


  山小屋利用者 ¥100
  一般     ¥200
 一回の登山でおよそ2000円程度必要かも。

 
富士山の吉田口登山道の山小屋で、山梨県と山小屋経営者などが進めていた
環境配慮型トイレの整備が2006年度で完了した。
静岡県側は2005年度までに全山小屋で整備を終えており、
富士山の山小屋と公衆トイレのすべてが環境配慮型となった。
以前行われていたし尿の地表への垂れ流しはなくなり、山梨、静岡両県が
目指す富士山の世界文化遺産登録に向けてもプラスになると期待される。

 富士山のトイレは、厳しい自然条件から通常の浄化槽設置や
処理水確保が困難で、以前は山小屋の大半がたまったし尿を
シーズン後に地表へ排出し、環境や景観への影響が指摘されていた。
環境配慮型トイレの整備は、2002年度に国の補助に県が上乗せする形で
助成する制度を始めてから本格的に進んだ。

 一方で、富士山の環境保全はまず利用する人、登山する人の意識の高まりが大切。
山小屋にとっては維持管理の負担がかさむという問題もあり、
いかに利用者に費用負担の協力を得て運営していくかが課題となっている。
トイレ利用は基本的にチップ制をしいているので協力するなど、
「富士山のトイレ事情」に少しでも留意して登山を楽しみたい。

 


 
吉田口・河口湖口 処理方式と穴数
場所 処理方式 穴数
5合目 五合目総合管理セン
ター公衆トイレ
浄化循環 大20 小15
佐藤小屋 杉チップバイオ
くみ取り
大4 小2
6合目 里見平・星観荘 くみ取り 大4 小1
六合目公衆
仮設トイレ
焼却 大4
7合目 東洋館 カキ殻浄化循環 女性:大5
男性:大2 小4
鳥居荘 焼却 大3 小2
富士一館 焼却 大3 小2
鎌岩館 焼却 大3 小1
七合目トモエ館 浄化循環 大3 小2
日の出館 焼却 大3
花小屋 カキ殻浄化循環 大3 小2
下山道七合目公衆
トイレ
乾燥 大4 小1
8合目 本八合目トモエ館 簡易浄化槽
(汚泥は持ち下ろし)
大5 小2
富士山ホテル 焼却 大7 小5
元祖室 カキ殻浄化循環 大4 小2
白雲荘 焼却 大6 小2
蓬莱館 カキ殻浄化循環 大3 小3
太子館 簡易浄化槽
(汚泥は持ち下ろし)
大8 小4
御来光館 カキ殻浄化循環 大5 小1
山頂 山口屋・扇屋・東京屋 焼却 大10 小5
おがくずバイオ 大2
富士宮口 処理方式と穴数
場所 処理方式 穴数
新5合目 五合目休憩所
富士宮口五合目
公衆トイレ
浄化循環
くみ取り
6合目 雲海荘 おがくずバイオ 大5 小2
宝永山荘 おがくずバイオ 大4 小2
新7合目 御来光山荘 おがくずバイオ 大5 小2
元祖7合目 山口山荘 おがくずバイオ
土壌処理
大4 小2
8合目 池田館 おがくずバイオ 大6 小4
9合目 萬年雪山荘 おがくずバイオ
焼却
大6 小6
9合5勺 胸突山荘 おがくずバイオ 大5 小3
頂上 頂上富士館 おがくずバイオ
焼却
大5 小3
富士宮口山頂
公衆トイレ
おがくずバイオ
焼却
御殿場口 処理方式と穴数
場所 処理方式 穴数
新5合目 御殿場口公衆トイレ 常流循環
大石茶屋 カキ殻浄化循環 大2、小2
7合目 日の出館 おがくずバイオ 大2 小1
7合4勺 わらじ館 おがくずバイオ 大2
7合5勺 砂走館 おがくずバイオ 大2、小1
7合9勺 赤岩八合館 おがくずバイオ 大2 小3
須走口 処理方式と穴数
場所 処理方式 穴数
新5合目 須走口五合目
公衆トイレ
浄化循環
菊屋 五合目公衆
トイレに 隣接
東富士山荘 カキ殻浄化循環 大4 小2
砂払5合目 吉野屋 カキ殻浄化循環 大3 小3
本5合目 長田山荘 カキ殻浄化循環 大3、小2
6合目 瀬戸館 カキ殻浄化循環 大2 小1
7合目 太陽館 おがくずバイオ
焼却
大5、小2
本7合目 見晴館 焼却 大3 小1
8合目 江戸屋 カキ殻浄化循環 大4 小2
本8合目 胸突江戸屋 おがくずバイオ 大3
カキ殻浄化循環 大2 小3

 
トイレを使うときは
 
トイレには水に溶けないティッシュペーパーを流さない

 山のトイレでは水に溶けない紙は使用禁止。
水に溶けないと分解されず地表に残ってしまい、自然環境を壊してしまう。
かつては汚物の放流された後にティッシュペーパーが残り、
「白い川」となって問題になった。水溶性のティッシュペーパー、
もしくはトイレットペーパーを必ず持参すること。
トイレットペーパーは芯を抜いてつぶし、ビニール袋に入れて
濡れないようにすると、かさばらず、ごみも出さないで済む。


 
使ったら必ずチップを払うこと

 富士山のトイレはほとんどがチップ制を取っている。
これはトイレの汚物の処理や維持費、環境に悪影響を与えないトイレの
開発に多大な資金が必要となっているからだ。
感謝の気持ちとして、利用したら必ずチップを払うようにしよう。


 

1.六合目雲海荘

2. 六合目宝永山荘

3.新七合御来光荘

4.元祖七合山口山荘

5.八合池田山荘

6.九合万年雪山荘

7.九合五勺胸突山荘

8.山頂富士館


富士山富士宮口山小屋に設置されたコスモエース。

年間30万人の登山客が訪れる富士山のトイレ問題は深刻でしたが、
この問題を解決するため 環境省は環境整備事業を行い、
コスモエースが全ての山小屋に設置されました。
コスモエースは屎尿を全て分解消滅させますので
汚物の汲取りや排出が一切 無くなり、又嫌 な悪臭も無いので
山岳トイレと期待されて設置が進みました。
その結果、富士宮口登山道の全ての山小屋にコスモエースが設置され、
富士山のトイレ問題は全て解決されました。

無臭で清潔な室内


機械室


バイオトイレのシステム


糞尿や生ゴミの成分は殆どが水分です。
その水分をオガクズに保水させ、加熱し、スクリューで撹拌し、蒸発させます。水分は臭いを発生することなく蒸発します。
残った約10%の固形分を微生物分解し、発散させます。
特別な菌の使用は不要です。
糞尿に含まれている腸内細菌と自然界に生息している微生物の働きで
水と二酸化炭素に分解処理されます。
糞尿で蒸発も分解もされない無機成分(窒素、リン酸、カリウムなど)が
「残さ」として残り、粉状態でオガクズに吸着します。
見た目はオガクズの色が変わるだけで糞尿は消えたように見えます。
糞尿という「水分の出と入り」の相関関係と、「オガクズの含水率の状態」で
バイオトイレの原理が成り立っています。
オガクズの交換は年に2〜3回が目安。
使用後のオガクズは理想的な有機肥料となります。


バイオトイレの特徴
a.水を使わない b.臭わない c.汲み取り不要 e.糞尿の資源化
e.50度以上にあがる発酵温度により雑菌は死滅する
f.比較的安価 g.生ゴミも処理できる h.無臭の仮設トイレができる
i.災害時に強い j.介護用としてベッドの脇に置ける
これは、オガ屑を「人工土壌マトリックス」として使用する事により、好気性の条件下で好気性菌によって糞尿を無臭の内に酸化分解し、炭酸ガスと水とに分解することができるためである。

設置参考断面図
1.高い空隙率 好気的条件の保持
2.高い保水性 バクテリアの生存に不可欠な水分の補給
3.高い排水性 水分蒸発の促進
4.高い耐久性 バクテリアへの高抵抗性・高耐摩耗性
5.大量供給可能 本国中に木材資源がありどこからでも供給可能
6.小さい見かけ比重 撹拌時の省エネルギー
7.生分解性を有する 担子菌による木材腐巧、分解などのオガ屑の特色に依存している

資料提供 寺沢 実 氏
《北海道大学大学院農学研究科教授・農学博士》

バイオトイレの優位性
バイオトイレシステム
無臭 糞尿を有価物に 衛生的 低ランニングコスト
水不要 寒冷地で使用可能 土壌・水質非汚染 下水施設不要
低回収費 資源(コンポスト)としての活用

既存トイレシステム
■従来式 ■水洗式
悪臭 非衛生的 高額装置 下水処理・維持費高額
水の大量消費 回収費大 土壌・水質汚染 断水時・寒冷地使用不可



■ もう1つのトイレ問題 女性のために

 
女性のトイレ問題でさけて通れないのが、月に1度やってくるあれです。
太陽館のトイレに張り紙がしてありました。(全文を暗記はしてませんが、こんな内容でした)

 汚物をトイレに捨てないでください。
みなさんが捨てた汚物は、女子従業員が一つ一つ拾って下に持って降りています。
男子従業員もそれが捨てられている事にあきれてます。汚物は各自で持って帰ってください。 と・・・

富士山のトイレのし尿などなどでさえ大問題になっているのに、
ビニールでくるまれている汚物なんて、一生土に返る訳でもないしホント悪臭のモト!
富士登山だと普段は山には登らない人々が大半でしょうから、
「汚物は当然トイレで処分するもの。持って帰るなんて冗談でしょ!」って思うんでしょうね。

でも良く考えてみれば土に返らないのは当然の事だし、
大量の他人の○○○の中からそれを1つ1つ手で拾うという作業って・・・
考えただけでも頭がくらくらしますよね。
そんな山小屋の人たちの苦労をみなさんに考えていただきたい。

だから、「富士山のトイレに汚物入れはない!最初からしょって降りる気持でいて欲しい。
それがいやなら、その時期には登らない。登山の日程をずらせないのなら、
生理の日程をずらすようにして」とぜひ書いていただきたいんです。

実際問題、生理の時期に富士登山・・・っていうのも、余計な荷物も増える訳ですし、
体力的にも辛いとは思うんですけどね。」

あと、水は貴重なので、トイレが終わったあとに手が洗えないことが多いので、
ウエットティシュなどを持参しましょう。
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