御殿場口(ごてんばぐち
 
新五合目の標高
1440m
良いところ
大砂走りの素晴らしい爽快感。
人が少ないので落ち着いて登れる。
富士山の雄大さを実感できる。
難点
富士宮口より新五合目が1000mも低い。
(山頂までの標高差2300m)
途中に山小屋が少なく、休憩しづらい。
歩行距離
19.5km (登り:11.0km 下り:8.5km)
所要時間
登り:7時間30分
下り:3時間
もちろん個人差はものすごくあります。
御殿場口から頂上をにらみながら登ってくる人には、思わず心から「がんばってください!」
の言葉が出る。そんなコース。
1440mの五合目(富士宮口より1000mも低い!)から、
火山礫に足を沈めながらも一歩一歩着実に歩ける忍耐力の持ち主は、Go for it!
初心者にはキツイが、ストイックに攻めたい経験者にはお勧めのコース。
宝永火山の火山灰で見渡す限り覆い尽くされた台地は、別の星に辿り着いたかのような錯覚を起こす。
山小屋の数が少ないので水と装備は万全に。
新五合目とはいいながら標高はわずか1440m。
富士宮口に比べて約1000mも低い場所にあります(実際は二合目に相当します)。
毎年8月初旬に、富士登山駅伝が行われます。
テレビなどで大砂走りを疾走する選手の姿を見た方も多いでしょう。
新五合目には広い駐車場に、富士急小屋というしゃれたつくりの売店しかありません。
他の登山口にくらべていかにもシンプル。
下部のトンネルみたいなところにトイレがあります。
(以後、記載する所要時間は標準的なものです。個人差はあります

 
鳥居が登山口。そこから少し登ると大石茶屋があります。
さて、御殿場口はその標高差と歩く距離の長さもさることながら、
登山客の少なさのため、山小屋が少ないのが難点です。
特に、この大石茶屋(標高1550m)から日の出館(標高3000m)まで
営業している山小屋が全くありません。

必要な物(特に水)は大石茶屋で購入しておく必要があります。
日の出館までの途中にトイレはありません。

 
大石茶屋を出発すると次の「次郎坊」(標高1900m)
という場所まで比較的緩やかな傾斜の斜面が
約2キロ続いています。
遮るものがなく広大な風景を見通せます。
雄大です。ここを約1時間かけて登っていきます。
登山道はジグザグになっています。
地面は砂礫のため、足下が少し埋まるため、
若干歩きづらいですが斜度が緩いので
大したことはありません。
大石茶屋から七合目まで約4時間という
立て札がありますが、これは健脚な人なら可能です。

 
御殿場口の最大の難所は、
次郎坊から七合目の日の出館までの
砂礫のジグザグ登山道です。
約3〜4時間の道のり。1100mの高度差を登ります。
富士宮口のように1時間ごとに山小屋があると
ペース配分も簡単だし、悪天候の場合とかも
避難しやすいですから安心なのですが、
ここではそういうわけにはいきません。

天気予報には特に注意が必要です。ところどころに、
今は使わなくなった小屋の跡があります。
その姿がなんとなく荒涼とした斜面とあいまって
けっこう寒々しい気持ちにさせてくれます。
単調きわまりないジグザグの登山道をひたすら登り続けます。精神修行にぴったり。

 
になりそうな建築物。左は標高2600m付近の小屋。
右は標高2780mの環境省避難小屋。しかし、どちらも中には入れません。
避難小屋には玄関部分に奥行き1mほどのひさしがありますが、
これでは無風時の雨しかしのげません。
2800m付近の六合目小屋は現在は崩れてしまっています。

 
標高3050m。ようやく七合目、日ノ出館に到着。
まさにドラクエでやっとのことで次の町にたどり着いた時のような安堵感と喜びがあります。
そこから、わらじ館、砂走館と続きます。

さらに砂走館から30分ほどで赤岩八合館(標高3300m・写真右)。
登山道途中で営業しているのはこの四軒だけです。
営業期間が短い山小屋があるので予約の際に確認してください。
赤岩八合館が山頂までの最後の山小屋です。(山小屋の写真はこちらのページを参照)

 赤岩八合館のやや下のあたりと、富士宮口の八合目が500m程度の距離の
横方向のバイパス道でつながっていますので、富士宮口の山小屋が満員の場合、
御殿場口の山小屋を利用するのも手です。鉄製の手すりのような物が、
山頂に向かって設置されています。これは、以前、冬季に富士山測候所の人が登頂、
下山するために使っていた手すりです。

夜間、まちがってそれに沿って登ってしまう人がいます。ご注意を。
 
 赤岩八合館を過ぎ、いよいよ山頂をめざします。
 
富士宮口なら八合目の次には、九合目、九合五勺に山小屋があります。
しかし御殿場口にはそれがないのです。
だから、途中の目標とするものがないので非常に長く感じます。

そして、山頂近くになってくると、大きな岩がせり出すように積み重なっています。
ちょっと恐怖心すら感じるほどのすごい光景です。
落石の危険があるのでできれば一気に登り切りたい場所ですが、
やはり標高3500m以上の高地のせいで息苦しく、なかなか足が前に進みません。

富士登山駅伝で選手たちが走って登っているのを見ると、
まったく信じられない気持ちになります。
(※98年、この近辺で人命にかかわる落石事故が発生しています。
落石には一層の注意をお願いします)。

そしてようやく山頂入り口の鳥居に到達。
左手にはすぐ富士宮口の頂上部分があります。
頂上部分の様子については富士宮口のページを参照してください。
 
↑山頂から見た、御殿場口登山道の全景。左上部の白い部分が新五合目です。
 
山開始。七合目の山小屋が集まっているところまでは、
登下山共用ルートです。ただ本当に人が少ないので、
富士宮口のように登山客と下山客がにらめっこして渋滞、
ということにはなりません。
七合目の日ノ出館から下山ルートへ進むと、
砂走りが始まります。


 
   ただ、この辺りは白い砂礫に岩がごろごろしているので
あまりスピードは出せません。須走口の砂走りと雰囲気が良く似ています。
宝永火口経由富士宮口へ戻るルートと別れてからしばらくすると、
ついに大砂走りが始まります。

 
黒い砂礫が深々と堆積していて、岩も少ないので、
本当に1歩3mで飛ぶように走っていくことができます。
これは絶対おすすめですね。面白い。楽しい。
ただし、あまりに距離が長いのでよほどの健脚でないと
一気は無理です。
(スパッツ必携!、なお岩が少ないといっても、
所々に埋まっていますので注意が必要です)。

霧で視界が悪い時は地面に張られたロープに沿って下山して下さい。
疲れて砂礫に腰を下ろして見回すと、広大な砂礫の大地が拡がります。
そして下山進行方向右側に気象庁の避難小屋が見えてくれば大砂走りも終わり。
次郎坊へ戻ってきます。標高差1000mを1時間ちょっとで下ってしまいます。
そこから2キロの直線を下って大石茶屋に戻ります。

 
大石茶屋で休憩していると、
おかみさんが「椎茸茶」を振る舞ってくれます。
イオウのような臭いがするので、
受け付けない人もいるようですが、
飲んでみると永谷園の松茸の味お吸い物に近い味で
なかなか美味。塩味が疲れた身体にぴったり。
交通機関ですが、新五合目とJR御殿場駅の間には夏期登山シーズンには
路線バスがあります。タクシーは大石茶屋に大きな案内の看板がありますので、
そこに記載されている電話番号でタクシーを呼び出せます。
タクシー乗り場は五合目の鳥居のそばにあります。(一番上の右側の写真参照)

 御殿場口は明治時代に作られた新しい登山道です。
古くからあった須山口という登山道の二合八勺に繋げられました。
富士山スカイラインやスバルラインができる前は、多くの人がこの登山道を利用しました。
現在は須山口は復興されています。

 
 
御殿場口・タクシー 下山だけを楽しむ方法

御殿場口の駐車場にマイカーを止めておき、
そこからタクシーで富士宮口新五合目へ行きます。
値段は小型車で(未確認ですが)6000円ぐらいではないか、と。
左の写真は五合目の大石茶屋にあるタクシー情報の看板。(2005年7月撮影
大砂走りだけを楽しむルート
 富士宮口からスタートして、六合目で宝永火口に進みます。
一度火口に降りてから宝永山に向かって標高差約250mの砂礫道を登れば
御殿場口の下山道が見えてきます。そこからは道なりにどんどん下っていけば、
すぐに大砂走りが拡がってきます。このルートはさほど登る必要もなくすこぶる便利。
なにより「宝永火口」「大砂走り」と見所満載のとくとくルートです。
ただ、富士宮口へバスでいくのがちょっと大変。タクシーじゃ高すぎる。
誰かに富士宮口へ運んでもらい、御殿場口で待っていてもらえば良いのですが、
そんな親切なお友達はなかなかいないぞ。

 
山小屋のお兄ちゃんは新聞が読みたい
 応対が良いと評判の赤岩八合館。そこのバイトのお兄ちゃんが言うには、
ずっと山小屋で働いているからラジオ、テレビは利用できるが、
スポーツ新聞が見たいとのこと。その気持ちはよくわかる。
商社の海外駐在員への土産にはやはり本が良い、なんてよく聞きますから。
たぶん、他の山小屋でも同じはずなんで、
特に宿泊する場合は一部持参しておくと喜んでくれるかも。
なお赤岩八合館は富士山の山小屋としては珍しく、夕食のカレーのおかわりができます。
 
かつてはスキー場があった。
 御殿場口の下部はかつてスキー場でした。
大石茶屋のおやじさんの服の胸部分の「御殿場市営スキー場」の刺繍がその名残。
シングルリフト1本、ロープトウー2本の緩斜面コース。
ですが、十数年前に大規模な雪崩があり、スキー場は閉鎖になってしまいました。
冬季の富士山の自然の猛威を感じることができます。
(だから、冬に登るのは超上級登山者以外は考えない方がいいです)

 
ハイキングに最適  
富士登山をしなくても、御殿場口からは適度な時間でいけるハイキングコースがあります。
双子山までは登り一時間でたどり着けます。道は大砂走り並の砂礫なので、
登るのはなかなか大変ですが、下りで大砂走りの雰囲気を味わえます。
また頂上からは大砂走りの雄大な風景が楽しめます。
そこから戻らずにさらに進むと、幕岩という高さ30mほどの溶岩岸壁があります。
それを回ってくると約3時間かかります。ルートの詳細は大石茶屋で教えてくれます。

 
御殿場口MENU

・新五合目から次郎坊まで2km

山小屋
山頂:頂上銀明館
七合九勺:赤岩八合館
七合目:日ノ出館
    わらじ館
    砂走館
五合目:大石茶屋
    富士急小屋(売店)

山小屋の連絡先(御殿場市観光協会)

Copyright 2008 bs-nara4 Japan BoyScout Troop 4 of NARA