高山病とは?
■高山病とは?
 
標高が高くなるにつれ、気圧は下がり、大気中の酸素濃度が低下していきます。
そのため、血中の酸素濃度も低下します。
富士登山で起こる高山病は、「急性高山病」と呼ばれるもので、
普段の生活から急に高地に行くことで起こります。
つまり高山病とは、低圧・低酸素に身体が順応できずに、
主に「酸素の不足」を原因として起こる様々な症状のことなのです。
 ※高山病は、誰にでも起こる可能性があります。

 
■発症する高度
 
発症する高度は人によって違いますが、一般的には、
標高2000メートル程度から発症します。また、その時の身体の状態、
年齢などによっては1500メートル程度でも発症するとされています。


 
■主な症状
 
富士登山において起こる高山病は、
通常「山酔い」と呼ばれる「軽度の高山病」です。
これは、「頭痛、倦怠感、吐き気、食欲不振、
めまい、耳鳴り、睡眠障害など」といった、
風邪や二日酔いに似た症状を引き起こします。
また、高山病の怖いところは、「山酔い」だけではなく、
山酔いが重症化することで、
「高地脳浮腫」や「高地肺水腫」といった「重度の高山病」を引き起こし、
非常に稀にですが危険な状態に陥ることがあるという点です。
 
 ※くれぐれも症状を甘く見て、
 無理をすることが無いように気をつけましょう。


高度が上がったことによって、人体に生じる障害。
主に酸素の欠乏によって引き起こされる様々な症状。
普段、低地に生活している人が高山に赴いたときにかかる高山病は、
「急性高山病」といいます。
富士山の登山でかかる高山病は、この「急性高山病」です。

  症状は、「頭痛」及び、次の症状のうち、少なくともひとつを伴います。
  (1)消化器症状(食欲不振、嘔気、嘔吐)
  (2)倦怠感又は虚脱感
  (3)めまいまたは朦朧(もうろう)感
  (4)睡眠障害


 
■予防法
 
これは、あくまでも発症する「確率を下げる」だけのものです。
下記の内容を守ったからといって、
「絶対に高山病にならないということはありません」。
 
〜五合目
・ 前日には、睡眠をしっかりと取り、登山当日に疲れを残さないようにする。
・ まずは、五合目で高地順応のため、1時間くらい過ごす。
 
登山中
・ オーバーペースにならないように、意識してゆっくりとしたペースで登る。
・ 歩いては休み、歩いては休み、休憩を取りながら登る。
・ 呼吸が浅くならないように、深く大きく呼吸するように気をつける。
・ 水分を普段より多く、マメに摂取することで、
  血液により運ばれる酸素が、効率よく行き渡ります。
・ 飴玉などで、糖質(炭水化物)を適度に摂取する。
 
その他
・ 身体を冷やさないように、保温を怠らないようにする。
・ 腹部を締め付けないように、ズボン・リュックのベルトに気をつける。
・ 暴飲暴食は避け、消化器系の負担を減らすように心掛ける。
・ 必要な酸素量を増やさないためにも、余計な運動は避けるようにする。
・ 心配に思われる方などは、「簡易酸素ボンベ」を
  用意しておくのも一つの手段です。
・ 途中の山小屋で長めの休憩を取り、時間をかけて
  身体を高度の順応させるのも有効です。
・ 最後に、高山病を必要以上に、気にしないということが大切です。
 
※お子様連れの方は、お子様の登山のペース、
体調不良を起していないかなど、
気をつけるようにしてあげてください。
 
※アルコールの摂取 ・ 睡眠薬の内服は、呼吸を抑制し、
充分な酸素を体内に取り入れることを阻害します。
高山病の悪化にも繋がるので、注意しましょう。

※女性の方で、生理の際に登山をする場合、
「鉄不足を原因とした貧血」を起される方は、
事前に鉄を補充するようにしましょう。
また、妊娠中の女性は、横隔膜があがった状態のため、
呼吸数の増える高地では「過呼吸」を起しやすく、
高度の急激な変化により「自然流産の可能性」が
上がるということが考えられます。
妊娠中の女性の登山はあまりお勧め出来ません。


 ゆっくり
  登る

   

 やっぱりマイペース。
 自分のペースをくずさないのが一番です。
 ただし、例外があります。
  脚力の強い方は、意識的にペースを落としましょう。

  「マイペース」では、早過ぎるのです(^^;)。
  登山では、それは「ハイペース」とイコールに
  なってしまうのです。
  
 酸素の補給が追いつきません。
  普段から体を鍛えていて、脚力のある方は、
  平地ではもちろんマイペースで構わないのですが、
  登山でマイペースを実践すると
  健脚であるが故に、高山病になる危険があります。
  脚力に自信の有る方には、(富士山初登頂時は特に)
  「意識的なスローペース」を、強くお勧めいたします。

  私のような、マイペースがぴったりな人と
  一緒に登ることで、自動的にペースダウンを
  計るのもいい手ですね(^^;)。

 休み
 ながら
 登る

   

 休息をとりながら登りましょう。
 休息は、「単なる体力の温存」だけが目的ではありません。
 富士山では、上に行くほど思った以上に

 「酸素の濃度」が薄れていきます。
 短時間に高度を上げることは、とても危険なことなのです。

 大気の酸素濃度が下がるということは、
 自分の体の血液中の酸素濃度も
 同じく下がっているんです。
 これが急激に起きると、とても危険です。
 どんどん酸素濃度の薄い世界へ、
 自分の体を進めて行く訳ですから、
 できるだけゆっくりがよいのです。
 休みながら登れば、体を順応させることができます。

 同じ理由で、車で五合目に到着した時も、
 いきなり登山を始めるのではなく、
 1時間くらいは五合目に留まって、
 体を順応させたほうがよいです。

 登山中に途中で休むときは、道をあけて、
 後から登ってくる人の妨げに
 ならないようにする注意が必要です。
 後から登ってくる人が、どんどん先に行っても
 あせる必要は、まったくありません(^^;)。
 足が重く感じられたら、体からの「休みたい」
 という合図に違いありません。
 自分の体にやさしくしながら、登りましょう。
    

 山小屋で
 休息する

   

 これは、必須ではありませんが、お勧めです。
 上記の2と同様の理由です。
 七合目の山小屋で4時間の休息。
 その場合も一泊料金ですが、大変よいと思っています。
 リーダーに、あらかじめ予約してもらうのも正解。
 七合目の酸素濃度の薄い世界に、4時間の間、
 体を休めることができます。。


 意識的な
 深い呼吸

   

 酸素濃度が薄いわけですから、意識的な呼吸が大切です。
 濃度が少ないなら、「呼吸回数」と
 「呼吸の深さ」でカバーすればよいのです。
 浅い呼吸にならないよう、無意識な浅い呼吸にまかせず、
 意識的な深い呼吸が必要です。


 十分な
 水分補給

   

 「大切なこと」のところで「水は最低限にする」
 と書いておきながら(^^;)。
 いえ、重い水を余分に持つと重たいので、
 疲れるのは本当です。

 でも、飲みたいのを我慢するのは、危険です。
 体の水分が不足すると、循環不全という状態になり、
 末端の組織まで酸素が運ばれなくなるのだそうです。
 そこで、「余分に水を持たない」ことと、
 「十分な水分補給」を両立させるためのポイントです。

 (1)暑い日中の登山はさけて、夜間の登山にする。
    →暑い日中より夜間の方が、
     体が必要とする水分補給量を減らせます。

 (2)持参は最低限にして、やはり多少高くても、
    足りなくなったときに山小屋で購入する。
    →荷物はできるだけ軽くしないといけません。
    →山小屋で買わなくてもいい、
     ちょうどいい量が背負えるなら、全く
     問題ないのですが...。

 (3)一気飲みしない。
    →「十分な水分補給=ガブ飲み」ではありません。
      少しずつコマメな補給がコツです。

 (番外)健脚の人に、水を多めに持ってもらう(^^;)
    →健脚の方の荷物を重くすることで、
      ハイペースに至るのを防ぎ
      高山病を防止。まさに一石二鳥..。

  ※「荷物はできるだけ軽く」といっておきながら..。
  「水の持参は最低限」 といっておきながら.....。
  健脚の方はマイペースではなくて、
  スローペースが必要なので、
  いいアイデアだと思ったのですが....。

   もし、この「番外」を実践される場合は、
   ご自分たちの責任のもとに実施してください。

 十分な
 保温

   

 特に夜間登山の場合です。
 体を冷やすと、血液中の酸素の有効活用が、
 できなくなってしまいます。
 私の場合、七合目から上では、フリースの上に、
 さらにレインウェアを着ました。


 お酒は
 危険!  

   

 アルコールは、呼吸を抑制する作用があります。
 お酒を飲むと、低酸素状態を加速することになります。             
 どうしても、お酒がお望みの場合は

 甘酒で我慢しましょう(^^;)。
 甘酒は、アルコールを含まず、酒類にも該当しません。

 甘酒では酔えませんけど、なんとなく、
 お酒を飲んだ気分になれますし 
 体も温まりますので、お勧めです。


 睡眠薬も
 危険! 

 

 睡眠薬もアルコールと同様、呼吸を抑制する作用があります。
 山小屋で眠れない場合、睡眠薬を服用するのは危険です。

 通常の睡眠でも、呼吸は浅くなりがちです。
 これは、避けられませんが
 睡眠薬で追い討ちをかけると、
 極端な酸素不足状態を招く危険性があります。
 睡眠薬が無くても眠れるように、
 頑張って体を改善してください(^^;)。

 
■もしも発症したら?
 
どんなに軽い症状でも気付いたら、その場所より高度を上げないようにし、
症状が完全に回復してから登ります。
症状の改善がみられない場合は下山しましょう。
絶対に無理は禁物、下山する勇気も大切です。
 
※頭痛薬などの薬を飲み、それにより症状が治まる場合があります、
しかし、酸素の欠乏が改善された訳ではありません。
高山病であることを認識し、薬の効果が無い状態で
症状が治まるまで、登ることはやめましょう。


 

 高度を
 下げる   

   

 高度を下げます。低いところへ移動し、
 酸素の濃度を上げます。         
 回復したら、また登ります。
 

 酸素ボンベ
 を使う  

   

 スポーツ店で1,000円程で購入できます。
 全然重くないので、心配な方は
 あらかじめ購入して、持参してもいいかもしれません。
 山小屋でも1,500円程度で購入できます。

 通常は1分、持続するタイプでも2分間のようです。
 残念ながら、使って体験していない為、
 どの位の効果があるかは、わかりません。
 いろんなサイトもみましたがきやすめ。。(2分とか・・・)
 ま、人間気持ちが大切・・・
 お守り代わりに持って行ってみては?

 下山する
 (T_T) 

   

 高度を下げてみても、酸素ボンベを使っても
 効果がなければ、下山するしか
 手だてはありません(T_T)。
 懲りずに、頂上は、また来年チャレンジしましょう。

 
■持病・既往症
 
高山病は、誰にでも起こる可能性があります。しかし、
下記のような持病、既往症のある方は、ほかの人より注意が必要です。
 
・ うっ血性心不全
・ 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫・慢性気管支炎など)
・ 呼吸不全
・ 高血圧
・ 貧血
・ その他、呼吸器系、循環器系の疾病など
 
このような症状に当てはまる方は、担当の医師や、かかりつけの病院にて、
事前に診察、相談をしておきましょう。


 
■いざというときは?
 
病気やケガをしたときには、救護所のお医者さんに診てもらいましょう。

 
■山小屋での宿泊
 
寝ると呼吸が浅くなり、それで気分が悪くなる人がいます。
また、混雑した室内は酸素濃度が下がっているので、
なおさら高山病の症状が出やすくなります。
そうなったら、もう寝るのはあきらめて、出発まで規則的に
深い呼吸をすることに専念することです。そうなりそうな人は、
イヤホン付きの小型ラジオを用意しておけばヒマつぶしになるでしょう。
横になっていると気分が悪くなるようでしたら、上半身を起こしていた方が楽です。
■パルスオキシメーター
数万円もする高価なものなのですが、
採血せずに血中酸素濃度を測定する機械です。
本格的な高所登山では使用する登山家も多いようです。
これを使うと血液中の酸素の状況がわかり、
数値が低くなれば酸素吸入などの対策をする必要があることがわかるのです。
私はまだ(高くて)購入していないのですが興味深い装置です。
もちろん富士登山ではまず必要がないものです。
でも、お金にものすごく余裕がある方は試してみられては。
 
 
■食べる酸素
 
登山用品店で売っている錠剤です。
これを食べると血液が酸素を多く取り込めるのだそうです。
詳細なメカニズムはよく理解していないのですが、
私にはなんだか効果があるような気がするので最近は愛用しています。
売価は800円ぐらい前日から食べておけば効くときいています。


 
■河口湖口から登ると高山病になりやすい?
 
年輩者よりも若い人の方が高山病にかかりやすいようですが、
それは行動が速いせいだと考えられているそうです。
確かに若者やちびっ子は、序盤、ハイペースで登ってしまう傾向があります。
なお、これは私感にすぎないのですが、
やはり河口湖口はその点がちょっとやばいですね。
つまり、五合目のバスターミナル付近の賑やかさでまず気分が高揚し、
そしてしばらくは緩い下りが続くので、ついウキウキとハイペースで
歩いてしまうということです。しかし、いくら下りだといっても、
そこはすでに標高2300m以上の場所なのです。
意識してゆっくり歩く必要があると思います。
そうはいってもやっぱりウキウキしてしまうわけですけど。
いちばん高山病の症状が出て苦しかったのは
河口湖口から登山したときと聞きます。。
この河口湖口登山は高山病になりやすいという説は
案外正しいかもしれません。
とにかく、車で五合目に到着したら、
しばらくゆっくりして高所順応をしなければなりません。
これは他の登山道でも同じですが、
富士宮口は五合目の雰囲気が割と質素だし、
最初から登りなのでさほどウキウキしなくてすむ
(そうは言ってもここは最も高いところからのスタートなので
やはり高山病にはなりやすいです)。
御殿場口は低地からのスタートなので高所順応しやすい。
須走口もやや低いところが五合目ですし、
いきなり樹林帯の中の山道なのであまり速く歩けません。
だから序盤のペースを必要以上に上げなくてすむのかもしれません。


 
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